幼稚園・保護者会・生活習慣

ママ友付き合い

《2014年4月1日》

 新年度がスタートします。新入園ママにとっても、進級ママにとっても、子どものお友達づくりに勝るとも劣らない心配事が、ママ友付き合いに関することのようです。新しいママ友ができるかしら? 仲良しのママ友と今年度も同じクラスになるといいな! あのママとは同じクラスになりたくないな…。いろいろありそうですね。

 実は私、この1年間に複数のヤングミセス誌から「ママ友付き合いの悩みにアドバイスがほしい」という取材を受けました。読者から寄せられた悩みリストを見ると、ママたちの悩みは十年一日というか、二十年一日というか、私が育児誌の編集長を務めていたころとほとんど変わっていませんでした。

 幼稚園ママは次々と代替わりしているのに、悩み自体は変わらない。それは、子育てを始めてまだ数年目のママが必ず通る道、初めてのママ集団の中でどう振る舞ったらよいのかという永遠の課題だからなのでしょうね。

 今回は各誌の悩みリストの上位に挙がっていた2題について、私の考えを述べることにします。

★ママ友との距離感に悩む

Photo 新入園ママの場合は、いきなりお茶に誘っていいのかしらと迷い、進級ママですでに仲良しグループができている場合は、お茶に誘うときはグループ全員に声をかけるべきかどうか悩む。そんなケースが多いようです。

 私は、幼稚園時代のママ友を自分にとってどんな存在だと考えるかによって、答えは違ってくるのではないかと思います。それに、自分の性格をプラスして考える。

 たとえば、積極的な性格で、広く浅くたくさんのママと仲良くなりたいと考えるならば、自分から声をかけてお茶に誘うも良し。自分や家庭のことをオープンに話してみて、気軽に話に乗ってくるママは、あなたと似たタイプかもしれません。一方で、声をかけたときに一瞬戸惑うような素振りを見せたママがいたら、無理強いにならないよう「ご都合が悪かったら次の機会にでも」と一声かけると好印象です。

 数は多くなくとも1人でも2人でも本物の友達を見つけたいと思うならば、最初は子どもを交えて親子で公園などで遊び、相手を観察してみるのがいい。しばらくたって、もう少し相手のことが知りたいと思ったら、先に自分のことをちょっぴり自己開示してみましょう。うまくかわされたら、あまり自分をオープンにしないタイプのママなのかもしれないし、もしかしたら時期尚早なのかも。相手もあなたを観察しているのかもしれません。子ども同士だってウマが合うかどうか見分けるのに半年や1年はかかります。焦る必要はありません。

 仮に仲良しママが5人いて、たまたま3人がお茶をすることになったとしたら、残りのママ2人には次に会ったときにでも「この前、3人でお茶したの。あなたがいないときで誘えなくてごめんね」と言っておけばいいのです。こんなふうに隠さずに伝えておけば、逆にあなたが不在でお茶をしたときでも話してもらえるでしょう。

 もし、不在のときに自分のことを話題に出されたのではないかと心配になるようなら、それは本当の仲良しとは言えません。自分が参加しているときのお茶会の話題で、どんなグループなのか判断がつくはずです。

 ママ友づくりの第1歩が踏み出せない、自分から声をかける勇気がない、すでにグループができているようで声をかけにくいと思うなら、園の役員や係を引き受けることをお勧めします。活動を通して相手のママのことが自然にわかってきます。1年間のお付き合いの中で一体感が芽生え、その後ずっと交流が続いているという話もよく聞きますよ。

 こうした役員や係を通して集まったメンバーは、似た者ばかりではないというのが、最大の利点です。メンバーの、自分とは違う考え方、自分とは違う子育て法を見聞きすることには大きなメリットがあります。わが家の子育てを見直す、新しい風が吹くかもしれないからです。

 近年、「あの人とは価値観が違うから付き合えない」という言い方をよく耳にしますが、価値観の違いの中には新たな発見もあって、目からウロコということも。価値観の違うママをバッサリと切り捨てないでほしいなと思います。大人としての度量を試されることではありますが。

 ともあれ、仮にウマが合わないと感じた相手でも、最低限、日常の挨拶はきちんとするのが幼稚園ママのオキテです。子どもたちだってお友達と折り合いをつけることを学んでいる最中なのですから、ママたちがお手本となってくださいね。

★LINEに誘われたけど、断りたい

 最近はブログ、Facebook、mixi、ツイッター、LINEなどなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使いこなすママが増えているようです。それに伴い、「無料だから」「便利だから」と誘われて、どうやって断ったらいいのかと悩むママも増えてきました。その裏には、むげに断って仲間はずれにされたらどうしよう、という不安もうかがえます。このお悩みだけが、以前はなかった今風のものでした。

 こんなときは「私、アナログ派で、そういうのに弱いの」と断るのがスマートです。あくまでこちらの事情として話し、SNSをやっている人を否定しているように誤解されないよう気をつけて。そのうえで、「ときどきは話題になっていることを教えてね」と伝えておけば、相手も気分を害さないでしょう。

 SNSとは別に、クラスの子どもたちの様子を知るには、活発な女の子のママと仲良くしておくのも手。男の子は園の様子をあまり話さないことも多いものですが、女の子の中には逐一ママに話す子もいます。もちろん、その子の目を通しての話だということを認識しておく必要はありますが、無口な子のママにとっては、一つの情報源にはなるでしょう。

 幼稚園ママにとってママ友は大きな比重を占める存在かもしれませんが、行動の原則はやはり、大人としての常識にあります。ママの行動は子どもにも先生にも見られていることを忘れずにいれば、ママ友付き合いのあるべき姿は見えてくるはずです。

(文:西東桂子/絵:山本花子)


みんな悩みながら子育て中

《2012年10月1日》

 先日、某幼稚園の「ママさんサロン」に招かれました。午前中の約2時間、自由参加のおしゃべりの会です。開催時間中は出入り自由なので、都合のつく時間帯だけ顔を出す方もいます。年に2~3回開かれているのだとか。

 おしゃべりのテーマは特に決まっていなくて、子育てまわりのことなら何でもOK。「今こんなことに悩んでいるんだけど」「こうしたいけど、どうやったらうまくいくかしら」などなど、日常のちょっとした悩みや迷いが話題に上り、一緒に考えたり、経験済みのママが「うちはこうしたよ」とアドバイスしたりする場になっていました。園長先生と私は隅のほうに座って、時々考えを述べたり、自分の子育て体験を語ったり。

 普段はあまり交流のない異学年のママたちとも話せると、なかなかの人気の会のようです。今は特に悩みはないけれど、いつか来るかもしれないその時のためにお話だけ聞いていたいという方もいらしていました。「3人目の子育てでも悩むことがあるんですね。安心しちゃった」とか「若いのにしっかりしてるわねぇ」なんていう発言も出て、笑いの絶えない素敵な会でした。

 仮に答えは出なくとも、迷いのない子育てなんてないんだ、みんな悩みながら頑張っているんだ、と知ることから元気が生まれるのですよね。ガス抜きの機会はとても貴重です。PTA主導のこうした会が幼稚園にあればラッキーですが、なかったとしても、悩みを語り合えるママ友をみつけていらっしゃることを祈ります。

★これって甘え? それともわがまま?

121001  今回は「ママさんサロン」で語られていたことの中から、二つの話題をご紹介します。園長先生のアドバイスがきっと皆さんのお役に立つことと思います。

Aさん(年中・男の子)「ある日の朝、カバンが重いから持ちたくない、頭がきついから帽子をかぶりたくないとヤダヤダ攻撃が始まりました。前日の出来事を引きずっているからだなと、なぜそんなふうに駄々をこねるかが私にはわかっていたので、ついカバンを持ってやろうとしたら、父親は『みんな自分でカバンを持っているんだ。わがまま言うんじゃない!』と一喝。甘えさせてあげることと、わがままをいさめることとの線引きが難しくて悩みます。どうしていいか、わからない」
全員「そうそう。同感」

園長「ルールを守らせることは大切だけれど、気持ちを受け止めてあげることも大事。無理やり従わせるのではなくて、同意してあげながら、自分で軌道修正できる方向にもっていってあげられるといいですね。この場合なら、『お弁当が重いのかな。じゃあ、お弁当を置いて行こうか』と言ってみてはどうでしょう? そして『お弁当がないから、早く帰ってきておうちで食べることにしようね』と言っておく。そこでもし『そんなのはヤダ。みんなと食べるから持っていく』と答えたら、『そうか。じゃあ、ちょっと重いけど頑張ってみようか』と声掛けすれば、だいたいうまくいきます」
全員「なるほど~」

 私たち母親は、子どもが「そうだね、お弁当を置いて行く」と答えたら、早く迎えに行かなくてはならない、あるいはお弁当を届けに出直さなくてはならないと考えて、先回りして予防線を張ってしまうのでしょうね。だから「お弁当を置いて行こう」の一言が出ない(笑)。子どもの気持ちを受け止めるには度量も試されます。

★わが家のルールの途中変更はあり?

Bさん(年中・女の子)「私はルールやマナーを厳しくしつけてきました。食事については特に厳しくて、出されたものは残すな、外食では自分で食べたいものを選んだのだから全部食べ切れ、と口うるさく言ってきました。だけど、ふと気がつくと、娘は興味があっても一度も食べたことがないものは『残しちゃったら大変』と思うらしくて絶対に注文しないし、好きだけど量が多くて残してしまって叱られたことがあるものは二度と頼まない。ちょっと厳しくしすぎたか、枠にはめすぎたかと悩んでいるところです。下の子も少し手が離れて私自身に余裕ができてきたからだと思うんですが、最近はご飯も私が食べさせたい量ではなくて娘が食べ切れる量を出すようにしています。外食でも、量が多ければ私が残りを食べてもいいし、途中で交換して二つの味を楽しむのもありかなと思ったりしますが、これまで厳しく言ってきたことを途中で変更してもいいものかと迷ってしまって…」

Cさん「そういうこと、あるよね。私はあるとき、『ごめん、ママが間違ってた。今日からルールを変える』と謝ったことがあるよ」
Dさん「私もある」

園長「本当に間違っていたなら謝っていいと思いますが、Bさんの場合は間違っていたというのともちょっと違うかもしれませんね。そういうときは『あなたが小さいうちは、こうするよと言ってきたけれども、だいぶ大きくなってきていろんなことがわかるようになったね。これからはこういうふうにしようか』と相談口調で言ってみるのがいいかもしれない」
全員「なるほど~」

 子どもが成長したということに限らず、生活環境・家庭環境が変わって以前のルールを変更しなければならないとき、変更したほうがいいときってありますものね。そんなときは、親が突然心変わりしたと思われるよりも、こういう理由で変更しますと説明したり、変更を提案することが大事だということでしょう。勉強になります!

 子育て中はストレスをためないことがいちばんです。ひとりで悩んでいても、なかなか打開策は見えてきません。ママ友とのおしゃべりが気分転換になるなら何よりです。ただし、言うばっかりではご迷惑ですよ。聞き役にもなることが、ママ友ルール。このルールだけは不変です!

(文:西東桂子/絵:山本花子)


ドラマを通して考えたPTA活動とママ友関係

《2012年8月1日》

 この4月から6月まで、テレビドラマ「七人の敵がいる」が放送されていました。昼間の30分の帯ドラだったので、毎回録画までして見てしまいました。というのも3年ほど前、同名の原作(加納朋子著)が小説誌に連載されていたときに読んでおり、あの原作がテレビでどう“料理”されるのかと興味津々だったからです。現在は単行本と文庫になっていて、ともに集英社から発売されています。公立小学校のPTA活動をテーマにした小説で、出版社に勤めるバリバリのワーキングマザーが非効率的なPTA活動にいらだちながらも巻き込まれていく、笑いと涙の痛快エンターテインメント本です。

 余談ですが、私は小さい頃からテレビにまったく関心を示さない子どもで、暇さえあれば本(コミックも!)ばかり読んでいました。大人になっても長らく習性は変わらなかったのですが、なぜだか5~6年前から好んでドラマを見るようになり、旧友たちとの女子会で感想を述べては「遅れてやって来たテレビっ子」と笑われていました。最近は本やコミックが原作のドラマが増えていますが、原作者の作家や漫画家に勝るとも劣らない脚本家の才能に感心したことも、テレビドラマを見るようになった大きな理由だと思います。

★「PTA活動は義務ではなく権利だ」

120801  結論から言うと、作者には失礼ながら、私にとってのドラマ「七人の敵がいる」は原作を超えていた! 脚本家って本当にすごいと思いました。

 タイトルにある7人の敵とは誰かといいますと、原作の7つの章から引用すれば、女、義母義家族、男、夫、我が子、先生、PTA会長ということになっています。あら~、これじゃあ周りはみんな敵ということになりますねぇ。

 主人公・山田陽子(ドラマでは真琴つばさ)は、合理的なことこそが正しいこと、と性急に改革を進めようとしては反感を買い、陽子自身が「敵(デビル)」とみなされてしまうのですが、やがてPTAの目的を考えるようにもなり、自分も変わりながら少しずつ周りを動かしていきます。

 設定上で原作とドラマの違いが目立ったのは二つ。一つは、原作では小学校入学時から高学年になるまでを描いているのに対し、ドラマでは入学から1年間が描かれました。これは子役の成長速度を考えると納得ですよね。もう一つは結末です。原作では、陽子がPTA活動を、できる人が有償で請け負うような組織にしようと画策し始めるところで終わりますが、ドラマでは、「PTA活動は義務ではなく権利だ」とママたちが認識するという方向で終わります。それってあまりにも正論すぎて体がかゆくなってきそうですが(笑)、でも、わざとらしさがなく、すがすがしく描かれ、説教くさくなかったのは見事でした。

 そして最後は、小2のママになった陽子が、「やってられないわ」と1年前の自分と同じ発言を新1年生ママがするのを聞いて、にやりと笑うシーンで終わりました。「最初は私もそう思ったんだけどね」という笑い顔は、陽子の成長を感じさせるものでした。陽子自身も変わったのです。

 原作は全体にかなり共感しながら読んだのですが、PTA活動の有償化というこの結末にだけは違和感があったので、脚本家さんのほうに1票を投じる次第です。

★PTA活動で得るもの

 フィクションですからさまざまなことがデフォルメされているのは当然です。それでも、小説やドラマほどではないにしても、現実のPTA活動が旧態依然で、実態に即していない側面もあると感じている人は少なくないかもしれません。幼稚園よりも小学校のPTAに対してそう感じることのほうが多いのではないでしょうか。なぜなら、私の経験上、公立小学校の校長は自分の代で慣例を変えることに消極的だから(笑)。

 いま、私立幼稚園の中には、PTA組織自体をなくしてしまったという園もあります。園長先生と話してみると、保護者同士の揉め事が目に余るとか、役員のなり手がいなくて役員決めに厖大な時間がかかるからという理由を挙げる方が多いようです。PTA組織のない園が年々少しずつ増えているような印象もあり、保護者のほうもそれを喜んでいる気配が感じられて、私はつい「もったいないなぁ」と思ってしまいます。

 仕事を持っていなくても母親ほど忙しい“職業”はありません。家事はいくらでも湧いてくるし、上の子・下の子がいれば用事は2倍、3倍。自分のための趣味や習い事の時間も取りたいですものね。となると、PTA活動に費やす時間は負担かもしれませんが、メリットもたくさんあると思うのです。

 実際、「幼稚園のことがよくわかった」「家にいるときとは違う子どもの一面を知ることができた」「ママ友ができた」というのが、役員経験ママたちが語る3大メリットですが、私はこれに「ママ友との付き合い方が学べる」というのも加えたい。

 私の保育園ママ時代はPTAの仕事はほとんどなくて、卒園式で係を務めたくらいですが、小学校は一人一役だったので毎年何かしらの係をしました。途中で会社勤めを辞めてフリーになり、時間に融通が利くようになったためクラス委員や、係の長を引き受けたこともあります。そのとき思ったのは、やっぱり十人十色だということです。

 すったもんだはあったものの、1年間同じメンバーでPTA活動をしていく中で、円滑にコミュニケーションを構築するためのコツのようなものがわかってきて、価値ある人生勉強になったと思っています。たとえば、「この人とのお付き合いでのキーワードは“公平”ね」とか「この人はやる気がないのではなくて、あなたにしかできないわと言われて引き受ける形が好きなんだな」とか「この人の社交辞令を真に受けてはいけないようだ」とか「この人の話は長いけど、結論に至るまでの経緯を聞いてほしいタイプなんだな」などなど。気の合うママもみつかり、その後も長いお付き合いを続けている方がたくさんいます。

★親子で成長する幼稚園

 1年前には「名前をなくした女神」というドラマがヒットしましたね。本名ではなく、○○くんママ、○○ちゃんママと呼ばれる世界について、ある私立幼稚園を舞台に、お受験問題を通奏低音としながら“ママ友地獄”がこれでもか、これでもかと描かれました。ご覧になった方も多いでしょう。私も1話も漏らさず見ました(笑)。こちらはPTA活動がメインテーマではなく、夫のリストラ・DV・浮気、妻の浮気、家庭ごとの収入格差、夫婦の育った環境の違い、再婚・離婚、専業主婦と有職主婦、子どもの芸能界活動、一斉同報メール問題などが次々と勃発し、分類としては社会派ドラマであったと思います。

 でも、二つのドラマには「幼稚園や小学校という一つの社会生活の中で、親同士のお付き合いはどうあるべきか」という共通するテーマも感じられました。

 あなたの幼稚園にPTA組織があるなら、来年度はぜひ役員を引き受けてみてほしいと思います。組織はないけれどもお手伝いの係ならあるという場合も、ぜひ参加してみてください。育ちも考えも異なる複数の人間が集まれば、多少の摩擦があるのは当たり前。でも、そこにはきっと学びがあります。私はいつも「幼稚園は親子ともに入園するところ」と言っていますが、親のほうも成長できる得難いチャンスだと思います。

 それにしても、デビル陽子とサタン上条(小林幸子演じるPTA会長)のやりとりは面白かった!

(文:西東桂子/絵:山本花子)


三つ子の習慣、百まで?

《2012年3月1日》

 幼稚園で人気の遊びの一つに、「フルーツバスケット」という椅子取りゲームがあります。ご存じでしょうか。参加人数より一つ少ない数の椅子を円に並べて中心を向いて座り、真ん中に鬼が立ちます。

 参加する子どもたちはバナナ、リンゴ、イチゴ、ブドウなど、いくつかのフルーツの中から自分がどのフルーツになるかを決めます。最初は先生が「(たとえば)バナナ!」と指定すると、バナナの人は席を立って移動しなければなりません。そのすきに鬼も席を確保します。あぶれて座れなかった人が次の鬼になり、また何かフルーツの名前を指定して、椅子取りゲームを続行します。フルーツの種類があまりに多岐にわたると、該当する子どもが少なくなって椅子取りが難しくなりますので、クラスで遊ぶなら4種類くらいが適当でしょう。

★遊びを通して家庭の実態を調査!?

120301  先日、年長組のクラスにお邪魔したとき、このフルーツバスケットの上級バージョンである「なんでもバスケット」をやっているところでした。椅子を移動する人を指定する項目が、フルーツではなくて、なんでもよくなります。鬼は、移動する人の数を増やそうと、項目出しに一生懸命知恵を絞ります。ちなみに、年長ともなると動作が機敏になり椅子を奪うのも一苦労になるので、円を大きくして移動距離を長くしたり、移動するときははいはいをするとか、おしりを床につけたままずりずりと這うなど新たなルールを加えることもあります。

 ある鬼は「今日、朝ごはんを食べてきた人」と指定しました。これは該当者が多そうなよい項目。思ったとおり全員が席を立ちました。私は私で「おぉ、全員食べてきたんだな、よしよし」なんて、マーケットリサーチ(実態調査)にいそしみます。「歯を磨いてきた人」のときも全員が席を立ち、リサーチャーとしては大満足でした。

 次の鬼が指定したのは「今日、タイツをはいている人」。最近は女の子だけでなく男の子もはいていますから、3分の2ほどが動きました。さらに次の鬼が指定したのは「髪の毛を結んでいる人」。これは女の子を想定していますが、髪の短い女の子もいるので席を立ったのは3分の1ほどでした。

 さぁ、だんだん項目出しが難しくなってきます。「○○組の人」と自分のクラス名を言えば全員が立ちますし、年長組の2月ですから「6歳の人」と言えばほとんどが該当するのですが、なかなか頭が回らないようです。そんなとき、鬼が言いました。「朝、テレビを見た人」。

 これは少ないだろうなぁと予想したのですが、意外にもほぼ全員が席を立ったのにはびっくりでした。座ったままだった2人のうちの1人の男の子が「えーっ、朝、テレビなんか見ないだろーっ」と叫んだのですが、まさに私の気持ちの代弁者のよう。すかさず女の子が「私、毎朝『カーネーション』を見てるよ」と返事をしました。男の子は「うそー、信じらんねー」。

 そうですか、「カーネーション」ですか(笑)。6歳の女の子はすでにファッションに目覚めているのですね。

 こんなふうに、子どもにとっては自分の家庭が「全世界」であり、わが家のやり方がすべての「基準」でもあります。うちの息子も保育園時代にお友達の家に泊まりに行き、「○○くんちはこうだった、ああだった」とわが家との違いを興奮して話してくれたものでした。遊びに行くのと違って泊まりに行くと、いろんなものが見えてくるんですよね。なかでも新鮮だったらしいのが「お父さんが帰ってきたら、家族全員で玄関まで迎えに行く」という行動でした。自分の父親は起きているうちに帰宅することは皆無だったので(笑)。

 園児だけでなく小学生でもまだまだ、わが家とよそのお宅にたくさんの違いがあることに気がつかないことがあります。

 テレビの話題で言うと、わが家にも上記の「なんでもバスケット」と似たような会話がありました。息子が小学校5年生のときだったと思いますが、学校から帰ってきてこんな報告をしてくれました。
「今日ね、先生が『朝、ニュースを知ることがありますか。何から知りますか』って聞いたんだけど、みんなテレビからだって」

 クラス30人のうち、テレビと答えた子が大半、新聞と答えた子が3人、ラジオと答えた子が息子と女の子の2人だけだったそうです。先生が「朝」と特定したところをみると、年齢的にもおそらく新聞の存在に気がつくように仕向けたい授業だったのだろうと思います。わが家では毎朝ラジオがついているので、それが普通だと思っていた息子はすごく驚いたようでした。もう1人ラジオと答えた女の子のママも、私同様フルタイムで仕事をしている人で、後日2人で「朝はドタバタでテレビを見ている余裕がないことがバレちゃったわねぇ」と笑い合ったものでした。時計がわりにテレビをつけている家庭も多いことと思いますが、ラジオなら時々時刻を言ってくれるので動きながら耳から聞くことができるので重宝なのです。

 また、友人の息子さんは、小学校3年生の夏休みに親と離れての子どもキャンプに参加して帰ってきた日にこう言ったそうです。
「ねぇお母さん、よその家ではみんな、朝、お母さんに起こしてもらうらしいよ。うちと違うね」

 キャンプの夜、誰かが「お母さんがいないから、明日の朝、ちゃんと起きられるか心配だ」と言ったら「僕も」「私も」の大合唱になったらしいのです。その子が驚いた理由は、「僕はお母さんがいなくても自分で起きられるのに」ではなくて、「お父さんに起こしてもらうのは僕だけなのか!」でした。彼のお母さんは大変な朝寝坊なのでした(笑)。

★続けたい習慣と見直したい習慣

 家の中のことだけではありません。関東圏のある幼稚園で聞いた話ですが、その園は対面通行の道路に面しており、園の前に歩道橋が設置されていました。毎朝、おばあちゃんと一緒に徒歩通園してくる子がいて、おばあちゃんが歩道橋を昇り降りするのがつらかったのか、何度注意しても手をつないで道路を横断していたとのこと。交通量が中くらいで、車が途切れる瞬間があったということです。その子が卒園し、園の前を通って1人で小学校に通学するようになって1か月ほどたったころに事故が起こりました。その子は道路を横断する習慣から抜けきれず、横断途中で車にはねられてしまったのです。園長先生は「もっと強く言っておけばよかった」と悔やんでも悔やみきれない様子でした。

 ことほどさように家庭の習慣というものは、子どもにしっかりと刷り込まれていきます。お宅のその習慣はずっと維持していて誇れるものですか? 見直したほうがよいかもしれないということはないですか?

 無意識だからこそ「習慣」なのでしょうが、たまには生活を振り返ってみるゆとりが持てるといいですね。
 幼児期に培った誇れる習慣――たとえば、早寝早起き、朝食後に排便を済ませて登園する、好き嫌いせずになんでも食べられる、などなど――は、その後の子どもの人生の骨格ともなります。骨太の子どもを育てましょう。

(文:西東桂子/絵:山本花子)


子どもの姿から学ぶべきこと

《 2009年6月1日 》

入園・進級してそろそろ2カ月。子どもたちも新しいクラスになじんできました。
進級児たちは4月の年度初めには「○組のみんな、集まって」と言うときに前年度のクラス名を大声で叫んだりして、先生たちを破顔させますが、今ではすっかり年中・年長の自覚をもっています。年中さんが年少さんに、おもちゃを譲ってあげたり、ブランコのところで「順番に並ぶのがお約束なんだよ」と教えてあげたりしているのを見ると、1年の成長の大きさを実感します。

進級児にはおうちでもぜひ、「お兄さん(お姉さん)になったねー」と声をかけて、「あなたの成長に家族みんなが気がついているよ」と伝えてあげてください。園では上級生として辛抱していることも多いので、「あ、僕(私)やっぱり頑張ってよかったな」という気持ちにしてあげることが大切です。

入園児の場合はまだまだ緊張が続いていますから、「園のお約束がだんだん分かってきたね。えらいね」とたくさん褒めてあげましょう。

★保護者会でわが子をどう紹介しましたか?

Photo 年度初めの保護者会や親子遠足などで、先生やほかのお母さんに向けて「わが子の紹介(性格や家庭状況など)」をする機会が何度かあったことと思いますが、今回はわが子をどう紹介したかという点から、子育てのヒントが見えてくるというお話をしましょう。

たとえば、「うちの子はまだ○○ができなくて」と話されるお母さん、案外多いものですよね。「靴の脱ぎ履きが上手にできなくて」「ボタンを留めるのが苦手で」「トイレをぎりぎりまで我慢するので失敗が多くて」「おもちゃをお友達に貸してあげられなくて」「すぐ手が出てしまう子で」「人の話を上の空で聞いていて」などなど。

「靴、ボタン、トイレ」など生活習慣系のことを話されるのは年少のお母さんが多いのですが、入園時にすべてのことができていなくては困るなどと思っている保育者はいませんから、その意味では心配ご無用です。ただし、次の点には心を留めていただきたいなと思います。

「まだ○○がうまくできなくて」というお子さんに限って、うまくやれないような状況に置かれていると感じるケースが多いのです。たとえば靴ですと、かかとの部分が軟らかすぎて、履くと足と一緒につぶれてしまう靴だったり、ひも靴だったり、サイズが小さくなっていて保育者が手伝っても履かせにくい靴だったり。また、ボタン穴がきちきちの大きさで大人でも留めにくいボタンだったり、ズボンにサスペンダーを付けているために子どもがトイレを嫌がったり……。

こうしたことは、おうちで実際に子ども自身にやらせてみれば、すぐに分かることなのですが、恐らくおうちでは時間短縮が優先されて、お母さんがやってあげてしまっているのではないかと想像されます。

また、お母さんが意外に気がつかないのが、お弁当グッズのこと。お弁当箱をお弁当袋にしまう(包む)ことや、コップをコップ袋にしまうこと、フォーク・お箸をケースにしまうことを、おうちで練習してみたでしょうか。特に年少さんでは、やり方が分からない子どもがたくさんいるだけでなく、お弁当袋やコップ袋が小さすぎて、子どもの手では出し入れが非常に困難な例も少なくありません。こうした袋は、今からでも一度おうちで出し入れをやらせてみて、大きさがふさわしいかどうかチェックしてみましょう。

子どもが苦労しないでやれる状況をつくってあげると、お母さんがたの生活習慣系の悩みは近いうちに解消するのではないかと思われます。

★ひょっとしたらお母さんに原因が?

次に、年中・年長児にも多い、「すぐ手が出てしまう」「人の話を聞くのが苦手」と話されるお母さんへのメッセージ。

年少さんでは、理屈より先に手が出てしまったり、言葉でうまく言えないもどかしさからつい手が出るということはよくあり、「どの子も手が出る」状態とも言えますが、年中・年長にもなると、「あの子はすぐ手が出る」というふうに固有名詞がついて回るケースもあることでしょう。こうしたお子さんは、腕力で物事に決着をつけてよいと思っているので、意思を通すためにお母さんを叩くこともありますね。

園庭などでもそういう場面に遭遇することがあり、叩かれたお母さんがなぜかニコニコしていたり、笑いながら「やめてよぉ」なんて言っているのを目撃したりもします。やはりこれではまずいわけで、ここは毅然とした態度で、厳しい顔つきで、「叩かれたらお母さんだって痛いんだよ。人を叩いてはいけないんだよ」と言うべき場面なのですね。

保育者は日々の保育の中でこのことを何度も子どもに伝えていきますが、おうちでも同調してくださらないと、なかなか効果は上がりません。幼児期は特に、子どものありのままを丸ごと受け入れることの大切さが言われますが、してはいけないことは「してはいけない」と、親はきちんと言わなくてはなりません。

また、「人の話を聞かない」というケースでは、はっきり言って、お母さん自身に同じ言葉を返したいようなケースがあります。というのも、子どもは、自分の話をしっかり聞いてもらえたという経験を通して、人の話も聞けるようになっていくからです。

お迎えに来たお母さんに、「見て見て。僕ね、逆上がりができるようになったんだよ」とか「今日ねぇ、私と○○ちゃんがねぇ……」と一生懸命話しかけている子どもの声も上の空で、お母さん同士でおしゃべりに夢中になっているということはありませんか。お心当たりがあるなら、まずお母さんから子どもの話を聞いてあげなくては。目と目を合わせて子どもの話をきちんと聞いてあげれば、そのあとの「さぁ、○○ちゃん、それじゃあ……」というお母さんの語りかけもきっちり子どもの耳に届いていくはずです。

こんなふうに、わが子の様子で気になる点がある場合、それは多くはお母さんが微調整していくとよい“子育てのヒント”だったりします。「うちの子、どうしてこうなのかしら」と悩まずに、「ふむふむ、お母さんこうして!というサインなのね」と気づくことができると、今向かうべき子育ての方向が見えてくることになります。

上の子と下の子ではいろんなことが違います。1人目のお子さんならなおのこと、いろんなやり方を試してみる必要があるでしょう。お母さんのやり方と子どもの姿、時々チェックして、すり合わせをしていくとよいと思います。

(文:西東桂子  絵:山本花子)