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親と子のお出かけマナー

《2014年5月1日》

 お出かけ日和のいい季節になってきましたね。今年のゴールデンウィーク、どんな計画を立てていらっしゃいますか?

 親子での外出は、けっこう周りから注目されているようです。少し前の記事ですが、2年前のちょうど今頃、日経新聞土曜日別刷り「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」で、親子の振る舞いについて取り上げられていました。2年たっても、内容的にはちっとも古びていないと感じます。

 親子の「どうかな」と思う振る舞いと、「いいな」と思う振る舞いがそれぞれ10位まで挙げられていましたが、ここでは「どうかな」のほうだけご紹介することにします。(2012年4月中旬調査。20代、30代、40代、50代、60歳以上で各200人の計1000人。男女同数)

★電車や飲食店で騒ぐ子をなんとかせよ!

 親子の「どうかな」と思う振る舞いワースト10は以下のとおり。

第1位 電車や飲食店で子どもが騒いでいるとき、自由にさせる
第2位 おもちゃや服、靴の片付けを親がやる
第3位 お店で自由に商品にさわらせる
第4位 外出中、親が携帯電話に夢中
第5位 食事の際、子どもがゲームをしている
第6位 外出先で子どもが泣いているとき、そのままにする
第7位 混んでいる電車やバスで優先座席に子どもを座らせる
第8位 他人の前で子どもとしゃべるとき、赤ちゃん言葉を使う
第9位 子どもの学校の成績を自慢する
第10位 子どもの宿題を時々親がやる

Photo_2  第1、3、4、6、7位は外出中のこと。第5、8位も外出中にあり得ることで、10項目中7項目もが「お出かけマナー」に関することと言ってよいと思います。私もそうですが、外出先では、ちょこちょこ動き回る子どもにどうしても目が行ってしまうので、感じる事柄も多くなるのでしょう。

 このランキングからは、子どもが騒いでいても泣いていても、我関せずで携帯電話(スマホ)に夢中になっている親――そんな情景が浮かび上がってきますね。いえいえ、あなたのことではありません(笑)。

 でも、お出かけ時は子どもにさまざまなことを教えるビッグチャンスでもあるのですし、何より、親子でのお出かけは子どもにとって最高の楽しみです。スマホではなく子どもの手を取って、目を見て、実のある親子の会話を交わしてほしいものです。

★正しいマナーを事前に子どもに話しておく

 子どもにお出かけマナーを身につけさせたいと思うなら、たとえば電車やバスなどの公共の乗り物を利用するときに、「こういうことをするのは、こういう理由でいけない」と、事前にきちんと話しておくことが肝心です。一度言ったから大丈夫と思わず、乗るたびに事前確認をします。

 たとえば、「車内で動き回っていると、急に止まったときにケガをするから、つかまって動かずにいようね」「大声を上げたり泣きわめいたりすると、眠っている人や具合の悪い人、本を読んでいる人たちの迷惑になるからやめようね」「子どもは元気だから、お年寄りや具合の悪い人に席を譲ろうね」というふうに。また、「ケガをしたら、お出かけは即中止。それはがっかりだよね」「あなたが具合が悪いときに、すぐ近くで大声を出されたらイヤでしょう?」と自分のこととして考えさせると、伝わりやすくなります。

 幼稚園の遠足やお泊まり保育などで公共の乗り物に乗るときにも、先生は事前にマナーを話して聞かせます。「遠足に行けるのは元気な子どもだからだよね。元気だから座らずに立っていられるはずだけど、やれるかな?」といった先生の言い方は、親にも使えますね!

 2~3歳以下だと言ってもわからない場合や、体力がまだついていなかったりして立っているのが難しいこともありますが、年中組くらいになれば言って聞かせれば頑張ります。マナーを教えもせずに、まずい場面になったときに頭ごなしに叱ったのでは、子どももたまったものではありません。

 あるとき、こんな体験をしたことがあります。電車に乗って座っていたところ、たまたま私の目の前に、おばあちゃんと5~6歳の男の子の二人連れが立ちました。車内はちらほらと人が立っているくらいの混み具合です。私は男の子に言いました。
 「おばちゃんね、おばあちゃんに席を代わってあげたいと思うんだけど、ぼくは立っていられるかな?」

 彼が「うん」と答えるのを聞いてから、私は席を立ちました。子どもにかかわる仕事をしているから臆面もなく言えたことかもしれませんが、子どもは話せば理解するものです。ただし、頭ではわかっても、ぐったり疲れていたら立っているのはもちろん、機嫌良くしていることすら無理なので、子連れのお出かけは疲れ切る前に、余力を残して帰路につくのが得策です。

★権利の主張だけでなく配慮も忘れまい

 話は変わって、国交省ではベビーカーをたたまずに電車やバスに乗ることを認めるという発表をしました。子育て世代にやさしい社会であってほしいと願っていますから、このこと自体は一歩前進と言えるでしょう。
 でも、ここにもマナーは必要だと思うのです。

 私が普段よく使う私鉄電車は、先頭車両が混雑し、ラッシュアワーの混雑度は200%を超えるかというほど殺人的です。ある日、朝の通勤時間のこの先頭車両に、開いたままのベビーカーが乗っていました。向かい合わせのドアの真ん中辺だったのでその辺りには手すりもつり革もなく、ベビーカーの周りに立ってしまった人は押されても体を支えるものがなくて、赤ちゃんの上に今にも倒れ込みそうな按配です。

 乗り換えターミナル駅に着くと、さらに人が乗り込んできます。ホームからはベビーカーのある辺りが空いているように見えるため、「中に詰めろよ」と罵声が飛びます。そのとき、降りた人が駅員さんに告げたのでしょうか、乗り込む客を制して駅員さんが車内に入ってきて、ベビーカーの持ち主の若いママに「ここは危険だから」と一旦降りるよう指導がありました。ママは素直に従いましたが、ベビーカーを降ろしてから乗客が乗り終えるまで電車は数分間停車して遅れが出ました。

 どうしてもこの時間帯に電車に乗らなければならない事情があったのでしょうが、せめて後部の比較的空いている車両に乗るとか、車内では抱っこひもを用いて抱っこし、ベビーカーはたたむとか、ママ側に配慮があってもよかったなと思います。ちなみに、車内でのおんぶは後ろが見えないのでお勧めしません。

 また、車内ではありませんが、最近の新聞投書欄に道路での出来事が載っていました。58歳の女性ですが、友人と道を歩いていたら、後ろから突然大声で「どけよ」と怒鳴られたとか。ベビーカーを押す30代くらいの男性だったそうです。この女性は心臓に持病があり、突然の大声に驚いたあまり過呼吸気味になって、道端で休んだと書いておられました。もしかしたら道幅が狭く、女性二人がのんびり歩いて道をふさいだ格好だったのかもしれません。それでもいきなり「どけよ」ではなく、「すみません」と穏やかに声をかけることもできたはずですね。

 子育て世代には自分たちが社会的弱者だという被害者意識が強いかもしれませんが、高齢者も、病気の人も、みな社会的弱者です。弱者同士が優位を言い募っても意味がありません。社会全体がお互いを尊重し合い、サポートできる側は率先してサポートし、サポートされる側も感謝の気持ちをもって周りに配慮する。それが本当のマナーでしょう。そういう方向をめざしていきたいものですね。

 世の中のことを考えるとき、いつも“幼子怒るな、いつか来た道、年寄り笑うな、いずれ行く道”という言葉を思い出します。私たちは独りで大きくなったわけではなく、導いてくれた親や大人がいて今日があります。今は想像できなくても、いつかは年寄りと呼ばれる日が来ます。柔軟な想像力こそが、社会をやさしくしていくのだと思います。

(文:西東桂子/絵:山本花子)

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