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赤ちゃん返りの子にどう接する?

《2014年3月1日》

 幼稚園在園中に弟や妹が生まれる、というケースはよくありますね。
 弟妹の誕生を心待ちにしていて、紙おむつを持ってきたりと楽しそうにお世話をする子がいる一方、「僕(私)にも目を向けて~」とばかりに赤ちゃん返りをして、赤ちゃんへの嫉妬をあらわにする子もいます。

 最初はいいお兄ちゃんお姉ちゃんぶりを見せていたのに、ずいぶんたってから赤ちゃん返りをする子もいて、親は対応に右往左往してしまうことも。それが入園や進級、学期の変わり目の時期に重なると、「登園しぶり」という形で現れる場合もあり、親はますます困惑します。

 赤ちゃん返りを見せる子どもにはどう接していけばよいのでしょう?

★赤ちゃん返りの子どもの心中は

Photo おうちに赤ちゃんがやってきたとき、上の子はどう感じているのでしょうか? 臨床心理士の先生がたに取材すると、それまで自分とお母さんが1対1で完結した融合した世界で生きてきたのに、突然、異分子(=エイリアン)がやってきた――そんな感じなのだそうです。異物がやってきて、お母さんがそちらに半分以上のエネルギーを注いでいるという不愉快さの中にいます。お母さんが妊娠中に「もうすぐお兄ちゃん(お姉ちゃん)になるよ」と繰り返し言って聞かせ、わかったような顔をしていたとしても、大人が思うようには理解していないのです。

 弟(妹)と自分との展望が持てず、どうしていいのかわからないのに「お兄ちゃん(お姉ちゃん)でしょ」と言われることに理不尽さを感じています。それでも子どもなりのプライドはあり、こういう振る舞いを期待されているんだろうということはわかるから、行動や気持ちの上で過剰に頑張りすぎて、あるとき限界点を超えて爆発してしまった結果が、赤ちゃん返りです。

 人間はストレスにさらされると、かつて安心を得られていた状況に戻ろうとするのだとか。幼児なら、泣いたり、指しゃぶりをしたりと赤ちゃんと同じようにして、かまってもらおうと考えます。思春期の子どもでも、歳の離れた弟妹ができたときに、急に親に相談を持ちかけたりして気を引くことがあるんですって。おかしいのは、お父さんにも赤ちゃん返りがあること。中には赤ちゃんに嫉妬して、「靴下はどこだ」と、一時期妻に当たり散らすお父さんもいるそうです。

 つまり、赤ちゃん返りはよくあることで、心配しすぎなくてよいということですね。臨床心理士の先生がたは、赤ちゃん返りは発達上の健全なステップだと言っています。たまたま赤ちゃん返りがなかったら、それはラッキーということです。

★上の子への接し方

 赤ちゃん返りの“症状”としては、前述した「よく泣く」「指しゃぶり」のほかに、「イライラして当たり散らす」「いたずらをして気をひく」「抱っこをねだる」「自分も哺乳瓶を使いたがる」「安心毛布、安心ぬいぐるみなど特定のものを手放せなくなる」などがあります。

 こんな様子が見られたら、次のような対応を心掛けましょう。

1、叱らない、からかわない
 本人も、実は恥ずかしいと思っているので、それを逆なでするようなことはしてはいけません。兄姉としてのプライドを守ってあげてください。「あんたさえ、もうちょっといい子だったら」という発言は百害あって一利なし。本人の気持ちにも波があって、昨日はイライラしていたけど、今日は大丈夫(頑張っている)ということがよくあります。そのときに「昨日はグズグズだったのにね~」などとからかうのも厳禁。頑張りを踏みにじってしまいます。

2、甘えたい気持ちに応えてあげる
 赤ちゃん時代を再現して、安心させてあげると落ち着きます。それには「赤ちゃんごっこ」のように遊びに取り入れるのが有効。たとえば哺乳瓶を使いたがったら、ジュースを入れてあげるなどして、上の子の気持ちを想像して受け入れてあげましょう。赤ちゃんが寝ている間を利用するなどして、お母さんが上の子と一緒にお風呂に入るのも有効です。上の子との入浴をお父さんの係と決めてしまわず、チャンスをつくりましょう。小児科医は、赤ちゃんの沐浴は上の子が就寝後の夜中になってもかまわないと言っています。

3、お母さん自身がストレスをためない
 お母さんが不安定で、機嫌が悪いときに上の子に爆発してしまうと、上の子はとても傷つきます。それでなくても赤ちゃんのお世話で大変。そのうえ、上記の1や2も、となると負担感が増しますね。
 そんなときは周りの人にどんどん言って助けてもらいましょう。赤ちゃんを抱っこしているときに上の子も抱っこをせがんできたら、赤ちゃんのほうをお父さんや祖父母に任せて、上の子を抱っこしてあげます。ママ友にも「上の子が赤ちゃん返りでしんどいの」と話してしまいましょう。ただし、上の子が近くにいないときにしてくださいね。同様に幼稚園の担任にも、赤ちゃん返りの気配を感じ始めたらすぐ、話しておきましょう。子どもへの対応に配慮してもらえます。

 そして、たまには赤ちゃんを誰かに任せて、上の子と外でデートしましょう。上の子はもとより、お母さん自身も外出が期待以上のストレス解消になることがあります。

★周りの大人にできること

 上の子も下の子も子育てすべてがお母さんの肩にかかっているという状況は、相当な重圧です。お父さんの「専業主婦なんだから当たり前」、同居の祖父母の「母親なら当たり前」という発言は、お母さんをますます追い詰めます。

 周りの大人にできることは、お母さんにリフレッシュタイムをプレゼントしてあげることと、上の子への声掛けです。上の子には「○○ちゃんもそうだったよ」と、自分も同じように大切に守られてきたことを思い出させるような声掛けをすることに価値があります。

 臨床心理士の先生がたによると、ラッキーにも上の子に赤ちゃん返りの兆候がない場合も、「いつか出るかも」と考えておくことに意味があるそうです。そして、いざ出現したら「あー、やっぱり出た出た」と声に出してみて、と。それが心のゆとりにつながるということでした。赤ちゃん返りには、“卒業”という楽しみもあります。

(文:西東桂子/絵:山本花子)

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