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3学期の幼稚園

《2014年2月1日》

 今年度も残りわずか。年少さんはようやく幼稚園児らしくなり、年中さんは幼稚園ライフを十二分に謳歌し、年長さんには最上学年としての自覚と誇りがあります。年少さんと年長さんを比べると、体つきもすっかり変わってきています。

 とはいえ、み~んなまだ「幼児」。小さなトラブルは毎日あり、それらをはじめとするさまざまな出来事や先生からの指導をとおして、「学び」や「気づき」も毎日積み重ねているところです。そう考えると、幼稚園児ってなんてけなげなのかと感動してしまいます。

 今回は3学期の様子を紹介していきましょう。

★「もう4歳だよ」と威張る年少さん

140201 年少組の教室。大型積み木をいくつか重ね、その上に立ち、先生が宙に掲げたタンバリンを叩きながら飛び降りるという遊びで盛り上がっています。立ち寄った私が「あら、みんなジャンプが上手ねぇ。飛びながらタンバリンに触るなんていうこともできるようになったのねぇ」と感心すると、Aくんが威張って言いました。「だって僕、もう4歳だもん」。隣にいたB子ちゃんが「あたしも4歳」と負けずに言い返すと、「僕は4歳2か月だよ。B子ちゃんは4歳何か月?」。「え~、わかんな~い」。Aくんは鼻息も荒く「僕、4歳2か月!」と繰り返しました。

 別の片隅では、女の子3人が「おうちごっこ」をしています。聞いてみると、3人はそれぞれ、お母さん、お姉ちゃん、猫の役なのだとか。お姉ちゃん役が「では学校行ってきま~す」と言うと、お母さん役が「100点取ってきてね~」と送り出しました。

 4歳何か月という言い方や、(テストで)100点を取るという表現は、おうちで兄姉やママが言っているのを聞いて耳から覚えたものでしょうね。言葉の意味はたぶんまだ理解していないと思いますが、子どもはなんでもよく聞いているということです。

 あちらのほうでは、おもちゃの取り合いが始まったようです。にぎやかな年少組ですが、入園後ほぼ1年たって、どの子も自分(地)を出せてきているのがよくわかります。それが集団生活のまずは基本ラインです。

★客観的に見ることを学ぶ年中さん

 年明けの年中組ではお正月遊びが人気でした。コマ回し、はねつき、かるた取りなどなど。コマ回しやはねつきは、最近は家庭ではなかなか経験できないのかもしれません。今日は一人ひとりが新しいコマをもらい、好きなように着色しました。描き終わった子どもから順に早速回してみて、色が交じり合うところを楽しみました。選んだ色や塗り方の違いでまったく異なるコマが出現するから、あら不思議。

 このコマは紐は使うものの、軸のところに巻きつけて回す簡便なタイプですが、紐の引き方にちょっとしたコツがあって、Cくんはなかなかうまく回せません。それを見ていたDくんが「Cくんがうまくできないのは、まだ5歳になっていないからじゃない?」と言ったものだから、Cくんは半分涙目です。だって本当はもう5歳なのですもの。だけどCくんにもまるで悪気はなく、むしろかばったつもりなのだからややこしい(笑)。

 こういうときには何も言わないほうが良いと思い、ほかの子が別の遊びに移っても、私はそれからしばらくの間、Cくんのコマ回しにとことん付き合い、彼はとうとうやり方をマスターしました。悔しさが“粘り”を生む好例です。

 隣のクラスでは発表会の準備を進めていました。最初の「礼」のところで全員が揃いません。そこで先生は全員を集めて座らせ、お話を始めました。

 先生「みんなは舞台にいるけど、前にはどなたがいるの?」
「お客さま」「ママやパパ」
 先生「そうね。お客さまからはみんなのことがよく見えるのよ。先生、絵を描いてきたから、ちょっと見てみて。これは今のみんなの『礼』をお客さまから見たところです。何か気がついたことがありますか?」

「あー、はじっこの子がよそ見してるー」
「少ししかおじぎしてない子がいるー」
「足を開いてる子もいるよ」

 先生「いろいろ気がつきましたね。みんなの『礼』がきちんと揃うと、お客さまは『○○組はカッコイイ』と思ってくださるはずよ」
「はーい」

 百聞は一見にしかず。自分たちが相手からどう見えるのか、客観的に理解できた一瞬でした。それに、この時期の子どもたちには“カッコイイ”はとても効き目のある魔法の言葉です。

★年長さんだって泣くし、皮肉を言ったり納得したり

 発表会後の年長組。今日はみんなで「なんでもバスケット」で遊んでいます。「なんでもバスケット」は、鬼になった子が指示する条件に当てはまる子だけが席を移動する椅子取りゲームです。そのうちにE子ちゃんが泣き出しました。実はE子ちゃんは涙腺がゆるく、よく涙をこぼします。でももうすぐ1年生ですから、自分で気持ちを切り替えられるよう先生は見守ることも多くなってきています。周りの子は「またか」という感じでおしゃべりを始め、「なんでもバスケット」は中断しました。

 先生はしばらく全体の様子を見ていましたが、E子ちゃんが泣きやまないので近くまで行って「どうしたの?」と声をかけました。なかなか話せないE子ちゃんでしたが、ようやく「Fくんが嫌なことを言った」と答えました。どんな嫌なことなのかを話すまでにさらに時間がかかりました。どうやら何人か前の鬼のとき、鬼になった子がなかなか条件を思いつけなくて立ち往生していたのをE子ちゃんが指をさして笑い、それを見ていたFくんが「自分だって指さされたら泣くくせに」と皮肉ったらしいのです。

 E子ちゃんがなかなか話せなかったのは、自分にも非があると認識していたからかもしれませんね。

 先生は「嫌なことを言われたら、そのときすぐに『そういうこと言わないで』と言わないといけないね。年長さんなのだから、頑張って言えるようになろう。時間がたってしまったら、相手も周りの人も理由がわからないでしょう? それに自分も悪かったと思ったら、謝ればいいんだよ」と言ってきかせました。

 それからおもむろに周りを見回して一喝。「みんな、今はおしゃべりしているときかしら。周りに困っている人がいたら、みんなで一緒に考えてあげてほしいです。自分には関係ないという態度は、先生悲しいな。この前の発表会ではみんなで力を合わせたでしょ。それと同じことなのよ」。

 たまたま私の隣にいた男の子が「そうか、同じことなんだ…」と、ぼそっとつぶやくのが聞こえました。それからちょこっと“学級会”を開き、再び「なんでもバスケット」が再開されました。

 小さなトラブルを経験することは、大きなトラブルを回避する力をつけるということでもあります。子どもたちの貴重な経験を大らかに見守ってあげてください。

(文:西東桂子/絵:山本花子)

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