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その一言がママを幸せにする

《2014年1月1日》

 新年あけましておめでとうございます。今年も「幼稚園ママ&パパ」を通してよろしくお付き合いください。

 子育て中のママたちにアンケートをとると、外出時にいちばんヘコむのは「泣く(あるいは騒ぐ)子どもをなんとかしろという周囲からの刺すような視線」だといいます。でも、子どもは泣くのが仕事だし、静かにしなさいと言って、すぐ言うことを聞いてくれるようなら苦労はしませんね。

 あくまで私の印象ですが、厳しい視線を投げつけるのは、意外にも若い人よりも60代のジジババ世代が圧倒的に多いように思います。数十年前には必死で子育てをしたはずなのに、さらには自分にも孫がいるだろうにと、私はいつも不思議に思っています。団塊の世代って、いつまでたっても自分本位なのかなぁ。というのはもちろん冗談で、実は10年前にも当時の60代の視線が厳しいと感じたことがあります。セカンドライフのスタート地点にいる60代は、自分の老後のことで頭がいっぱいなのでしょうか。

 それはさておき、年の初めですから、心が温かくなるお話に方向転換しましょう。子育てに追われる時期だからこそ、ふと掛けられた温かい言葉はママたちにとって忘れられない一言になります。まずは新聞の投書欄から拾った話題。

★「今日は特別」の一言で楽しい思い出に

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 鹿児島のAさんは、大学のホームカミングデー(同窓会のようなもの)に子ども4人を連れて出掛けました。小学校3年生を筆頭に、幼稚園年長・年少、1歳半の3男1女です。学内を歩き回っていると、教授らしき男性に声を掛けられました。「今日はお子さんたちにおいしいものをいっぱい食べさせてあげてくださいね。好きなものも買ってあげて『○○大学に行って楽しかった』という思い出を作ってあげてください」。

 Aさんは「静かにさせなさい」と言われるかと思っていたので、その言葉でほっと肩の力が抜けたそうです。思わず「今日はなんでも好きなものを買ってあげる」と子どもたちに一言。普段はおやつを分け合って食べる4人ですが、その日はお店で一人ずつ好きなおやつを買ってもらい、満面の笑みを浮かべたとか。その笑顔を見て、いつもは子育てに気を張っているAさんの心にもゆとりが生まれました。

 よほど楽しかったのか、帰宅して小3の長男が「ぼく、将来、○○大学に行きたいな」と言うと、「ぼくも」「私も」と(意味はわかっていないかもしれませんが)きょうだいが声を揃え、家族みんながもう一度笑顔に。教授の一言がたくさんの笑顔を運んできてくれて、本当に忘れられない思い出になったそうです。

★小言より届く言葉

 次は、知り合いのママから聞いた話です。

 東京に住むそのBさんは幼稚園年中組のCくんを連れて、電車に乗っていました。Cくんはかなりのやんちゃ坊主。10歳上のお姉ちゃんがまったく手のかからない子だったため、Bさんは、どうしてこの子の場合はこうも叱り続ける毎日なのかと嘆く日々。その日も、電車に乗り込むときには「横入りはダメ。順番よっ」と叫び、車内に乗り込めば乗客をぐいぐい押すので「すみません」と謝り、次の駅で空いた席めがけて飛び込むように座った際に、右隣の女性を蹴飛ばしたのに謝り、窓の外を見ようと勢いよく反転した際に、左隣の老紳士を蹴飛ばしたのに謝りと、ずーっと謝罪と小言を言い続けていたといいます。

 極めつけは電車を降りるとき。Bさんが「さぁ、降りるわよ」と言った瞬間、Cくんは靴を履いたまま座席に立ち上がり、遠くの床までジャンプしました。頭に血が上ったBさんが「何やってるのっ」と叫ぼうとしたとき、それより一瞬早く静かな声が掛かりました。「ああ、怪我しないで降りたね。よかった」。左隣の老紳士の一言でした。

 言われつけない(?)優しい言葉に、Cくんも棒立ち。我に返ったBさんは老紳士に深くお辞儀をしつつCくんの手を引いて電車を降りました。Bさんは私にしみじみ語ってくれました。「叱らなくても、子どもに届く言い方があるんですね。いえいえ、そうじゃなくて、叱っても届かないけど、優しい言い方だからこそ届くというか…」。

 Bさんはそれ以後、Cくんへの言葉掛けを変えたそうです。それまでいつもいつも叱られていたCくんですが、最近少し落ち着いてきたような気がするとのこと。老紳士の一言が親子にちょっぴり変化をもたらしたようです。

★親子で褒められて

 最後は私の体験から。
 かなり古い話で恐縮ながら、年長組だった息子と電車に乗っていたときのことです。その日は雨が降っており、親子それぞれ傘を持って、開閉しない側のドア近くに立っていました。終点で降りる前、こんな会話を交わしました。「駅は降りる人で混雑しているから、傘は縦に持つんだよ。横に持つと前や後ろの人に当たって危ないからね」「うん、わかった」。

 電車を降りて10メートルも歩いたでしょうか。横から声が掛かりました。「ぼく、お母さんの言うこと、ちゃんと守れてえらいね~」。先ほど、私たちが立っていたところの脇に座っていたおばあちゃんです。会話が聞こえていたのでしょうね。誇らしそうに笑みを浮かべて私を見上げる息子。私が思わずお礼を言おうとしたら、「お母さんも、いいこと教えて偉いわね~」ともう一言。息子と顔を見合わせたあと、3人で「あははは」と笑い合いました。雨の日の憂鬱が一瞬で吹き飛びました。70代に見えたおばあちゃんから、子育てを頑張ろうと思える元気をもらったのでした。

 時には周囲から厳しい視線が降り注ぐことがあるかもしれないけれど、こんなふうに元気や喜びや気づきをもらったことがある人も、少なくないことでしょう。そんな体験のある人は、今年はお返しをする年にしませんか。わが子より小さい子を連れているママ、自分より若いママに一言声を掛けて、ぜひ元気をプレゼントしてあげてください。

 日本中のあちこちで笑顔がこぼれる2014年になりますように。

(文:西東桂子/絵:山本花子)

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