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子どもの発達を知る ~2学期末の職員会議から~

《2013年12月1日》

 どこの幼稚園にも「保育目標」があります。卒園までの間に子どもをこういうところまで導いていこう、こういうふうに人としての土台を築いてあげたい、という目標です。卒園までにこれらを実現するために、年少の1年間ではここまで、年中の1年間では、年長の1年間では、という年次別の保育目標があり、さらには学期ごとの保育目標もあります。担任の先生はそれらを一応の目安として子どもたちに向き合っていきますが、子どもたちの発達は一人ひとり異なるので、個別対応も必要です。

 今回は、保育目標に対して子どもたちの実際はどうか、というテーマで開かれた、ある幼稚園の職員会議の様子をご紹介しましょう。ある年の2学期末(年末)の会議です。各担任の報告や相談に対して、同僚や先輩、主任、副園長、園長などが助言をする場でもあります。

 子どもの発達に詳しいプロたちの会議内容を知ること
は、子育て中のママにも役に立つと思います。そして、子どもの発達には個人差があることを理解して、よその子と比べて一喜一憂しても意味がないのだということも知ってください。

★年少児の発達

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担任A「A子ちゃんは朝、まだママと別れがたい状況だが、先週、ママにその理由を『バイバイするとママがいなくなってしまうような気がする』と話したそう。ママはいなくならないということはもちろん、幼稚園では先生が守ってあげるから安心してと伝えていこうと思う」

担任B「Bくんはまだ一人遊びが楽しい段階。周りへの関心が薄いので、担任が全体に話をしているときにも聞いていないことが多い。Cくんは2学期になってだいぶ話が聞けるようになってきた。周りに関心が出てきたことで、お友達の気を引こうとふざけすぎることがある。そんなときは、きちんと話を聞いているお友達を褒めると自分も頑張ろうとするので、上手に活用したいと思っている」

先輩教諭「年少児には『先生の話を聞きましょう』と言い聞かせても無理。それよりも今は、楽しく話が聞けるような雰囲気づくりが担任の仕事」

担任C「D子ちゃんは突然環境が変わることに弱いと、ママから話があった。家庭では常に、先々のことを示してきたそう。そこで、以前よりは具体的に『明日はこんなことをするよ』と伝えるようにした」

園長「そういうときに『明日は教室が変わるけど大丈夫よ』という言い方ではなく、『楽しみね』という言い方を選びたい」

担任D「Eくんは1学期はお友達に関心がなく、一斉活動でも一歩引いていた印象があったが、最近はお友達とかかわるきっかけを作ってあげると、会話が弾むようになってきた。ただ、身支度や準備、片付けにはまだかなり時間がかかる」

園長「先生が手順を示してあげて。そして、できたら褒める。『お友達が待ってるよ』は本人には関係ないこと」

担任E「F子ちゃんは自分のやりたい遊びを見つけられなくて担任のあとを付いて回る。走るのが好きなので氷鬼に誘い、途中で『先生と二人じゃ寂しいね』と言ってみたら、お友達を誘えるようになった」

担任F「昼食を一番に食べ終えた子を、毎日チャンピオンとして発表してきたが、早いのが偉いという雰囲気になってきていけないと思っている。きれいに食べることの大切さも伝えていきたい」

副園長「生活の中にはいろいろなチャンピオンがいることを示してあげるとよい。昼食のときで言えば、よい姿勢で食べている子もチャンピオンになれる」

★年中児の発達

担任A「子どもたちが『こうなっちゃった』と状況だけを言ってきて、担任が指示するという段階を経て、今は自分で決める、自分たちで決めるを大事にしている。担任が考えるきっかけづくりをしてあげると、考えて決定できるようになってきた」

担任B「私も子ども同士のトラブルが起きたとき、どちらの言い分もよく聞いて、子ども二人と担任の3人で考えるという状況づくりを大切にしている。担任はどちらが悪いかわかっている場合でも、あえて言わない。子どもの表情を汲みとって、そのときどきに最適だと思われる言葉がけをするよう心がけ、自分たちで決着がつけられるよう導きたい」

園長「先生とかかわりができ、先生にきっかけをつくってもらい、先生ができたことを褒めてくれると、自分に関心をもってくれたと嬉しくなる。これは年中児に限らない。全担任がいつも心に留めるように」

担任C「双子の兄のAくんは、積極的でなんでもできる妹のB子ちゃんに対して劣等感を持ち始めた。そこでママにも『何か自信の持てることを見つけてあげたい』と話した。今は縄跳びの連続跳びに挑戦中で、30回連続をクリアして自信がついてきた」

担任D「お友達のいいところ探しをした。一人ひとりのいいところを挙手で発言、人数分の紙を用意して書き込んで壁に貼った。予想以上にお友達をよく見ていて嬉しくなった。そのあと『お友達のいいところを真似っこすると、いいところが広がっていくね』と伝えた」

★年長児の発達

担任A「年長になって連帯感を楽しむようになったが、運動会の練習のとき、勝つことがすべてという雰囲気になってきたので、『勝っても負けても頑張ったことを認め合い、讃え合えるようにしたいね』と声をかけた」

担任B「AくんがBくんにあげた手紙をCくんが破った。担任はセロテープで貼り合わせながら、『手紙はこうやって直せるけど、気持ちは直せないのよね』とつぶやいた。手紙は気持ちを言葉に表して渡すもの。手紙には気持ちがこもっていると伝えると、Cくんは謝ることができた」

担任C「作品展に出すための立派な共同画を仕上げることができた。多少困難なことでも、途中で投げ出さないくらいの力がついてきた」

園長「子どもは知っていることを絵に描く。だから、観察の時間には知っていることを増やしてあげることが大事。こんな形だね、こんな色だね、こんな手触りだね、と声をかけて、自分で感じられるよう手助けを」

担任D「できることのもう一歩上のレベルに引き上げてあげる保育の大切さを痛感している。これが年長の保育の極意だと思う」

 いかがでしたか? 親と子の日常はずーっと線でつながっていますから、わが子が今、どういう発達段階にあるのかと考えることは普段はあまりないことだと思います。だからこそ幼稚園教育に意義があるのですが、保護者会や個人面談のときに先生が話してくれる内容には子育てのヒントがいっぱい。今、わが子にどんな言葉がけが必要で価値があるのかが詰まっていたりします。お聞き逃しのないように。

(文:西東桂子/絵:山本花子)

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