自転車でも徒歩でも交通ルールをしっかり教えて
《2013年9月1日》
先月は自家用車でのチャイルドシート着用の話題に触れましたが、今月は自転車と徒歩についての安全の話。北国ではすでに夏休みが終わって2学期の保育が始まりました。そのほかの地域でももうすぐ始業式です。登降園時の安全確認を怠りなく!
★自転車でも必ずシートベルトを
のっけから脅かすようで申し訳ないのですが、今年2月の寒い朝、神奈川県川崎市で幼児が死亡する自転車事故がありました。会社員の母親(36歳)が、自転車の前と後ろに1歳と5歳の娘さんを乗せて歩道を走っていたとき、バランスを崩して自転車を倒してしまい、はずみで後部座席の5歳児が車道に転がり出て、通りかかったトラックの後輪にひかれて亡くなったという事故です。姉妹を保育園に送り届ける途中でした。
歩道の幅は1.3メートル。片側一車線の車道より10センチほど高いけれども、ガレージなどの前では高さがなくなる高低差のあるタイプの歩道です。車道との間にガードフェンスはなく、歩道に乗り上げて駐車する車もあったでしょうし、歩道のところどころには電柱も立っていて、そこでは幅が1メートル以下になります。その狭い歩道で、反対方向から来た自転車とすれ違うためスピードをゆるめたところ、バランスを崩して倒れたということです。痛ましいニュースでした。
私が通る道と同じだ、と思った方も少なくないのでは? 本当に他人事ではありません。
この事故では、自転車は安全基準を満たした3人乗りで、姉妹は二人ともヘルメットをかぶっていましたが、車道に投げ出されたお姉ちゃんはシートベルトをしていませんでした。妹はシートベルトをしていて、ケガはありませんでした。つまり、シートベルトが生死を分けた可能性もあるのです。子どもの年齢が上がってくると、鬱陶しいからと嫌がったり、自分でするからいいと主張することもあるでしょうが、ここはやっぱり親がしっかり確認を。自動車だけでなく自転車でも、「乗ったらシートベルト」を親子の合言葉にしたいものです。
うちは子ども一人だから3人乗りの自転車は必要ないと考えているママがいるかもしれませんが、前部座席も後部座席も別売りになっているタイプがあります。3人乗り自転車は値段は張りますが、二人乗りより低重心でフレームも太くて頑丈という特徴がありますから、事情が許せば買い替えも検討してください。
私も幼稚園に保育実習で登園するとき、晴れていれば自転車を使います。13年半の間には、ひやっとしたことが何度もありました。
あるときは、私のほうが優先の道路(片側1車線)の左側を走っていたところ、目の前の路地から自転車が飛び出してきてすぐ左に曲がり、私の進行方向に悠然と走り去って行きました。自転車の後部座席では幼稚園カバンが揺れており、急ブレーキをかけて止まった私はそれを呆然と見送りました。私が自転車ではなく車だったら、どうなっていたでしょうか。カーブミラーのない細い路地で、優先道路のほうにも歩道はなかったのですが、運転しているママがまったく速度を落とさず、一度も右を確認しなかったことに驚きました。でも、こんな飛び出しの経験は実は一度や二度ではありません。
★交通ルールを刷り込むのは今でしょ!
徒歩通園だからと安心するわけにもいきません。
あるとき、私の10メートルほど前を幼稚園カバンをかけた年少さんくらいの男の子とママが歩いていました。男の子はママの少し後ろを、石を蹴りながら歩いています。石がときどきママの前まで飛ぶので、彼が石蹴りをしていることはママも知っていたと思います。
後ろを歩く私が、大丈夫かな、危ないなと思っていた矢先、蹴った石が道の中央に転がり出ました。瞬間的に私は後ろを振り返って車が来ていないことを確認し(前からは来ていなかったので)、すぐに男の子を見ると、幸いにも彼は左右の車を確認してから石に駆け寄ったところでした。
このことをママはまったく気付かずにすたすた歩いていきました。万一、車が近づいていて、男の子も左右を確認せずに石を追いかけていたら、どうなったでしょう? ママは悔やんでも悔やみきれないことになっていたかもしれません。
手をつないでくれるのは今のうちだけです。子ども一人のときは、手をつないで子どもを内側に。子ども二人でどうしても一人としか手をつなげないときは、大きいほうの子はママの前を歩かせましょう。
子どもは親の真似をして育っていきますし、親子で培った幼い頃の習慣は長くその子の中にとどまります。だからこそ、自転車のときは角で必ず一旦停止して左右を確認する、石蹴りをしながら歩かない、といった交通ルールを、今のうちに親子で確認し直してほしいと思います。小学生になったら独りで歩き、独りで自転車に乗るようになるのですから。
交通ルールは命と直結しています。後悔することのないよう、いつでも大人が良きお手本を示してくださいね。
(文:西東桂子/絵:山本花子)
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