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シンガポールの幼稚園と給食

2014年1月15日

2013年11月、福島県幼児教育振興財団(古川洋一郎理事長)の海外視察研修に同行してシンガポールの保育園と幼稚園を見学した。シンガポールは人口450万人。その7割が中国系で残りはマレー系、インド系、アラブ系。面積は東京23区とほぼ同じという小さな都市国家だが、今、世界でもっとも活気と規律のある国と言われる。どのような幼児教育が行われているか気になるところである。

131108←先生が絵本を読む光景はいずこも同じ


訪ねたのは郊外とオフィス街にある保育園(チャイルドケア)、ショッピング街にある幼稚園(プレスクール)の三カ所。いずれもキンダーランドという民間会社が設置運営している。同社はシンガポールのほかマレーシア、インドネシア、バングラデシュ、中国で計51カ所(うち幼稚園は6カ所)の施設を運営していて、さらなる拡大に意欲を示している。日本での株式会社立保育所の様相を思わせる。

保育園も幼稚園も開所時間は7時~19時の12時間で、フルデイ利用とハーフデイ(7時~13時)利用の子が混在する。保育園が生後2ヶ月から6歳、幼稚園が2歳から6歳という受け入れ年齢の違いを除けば、施設の様子、生活・学習の内容に大きな違いはなく、いわば認定こども園制度の先行事例とも言える。

131108_2←何やら話し合いをしながらグループで制作活動


ただ枠外にひとつ違いがあった。幼稚園は商業ビルの4階にあったが、同じフロアーに小学生から大学生まで利用できるカルチャーセンターが併設され、幼稚園で始めた音楽、舞踊、美術、語学などが継続できるようになっていた。幼稚園を生涯学習のスタートに位置づけているわけだが、交通便利な繁華街にあればこその機能でもある。

郊外の保育園は、職業技能を身につける高等専門学校の教職員の子を預かる施設で、教職員住宅ビルの1・2階にあった。オフィス街の保育園は政府機関で働く人たちの子を受け入れるもので、フィットネスクラブなど政府機関勤務者の福利厚生施設が入っているビルの5階にあった。いわゆる事業所内施設で、このスタイルはシンガポールでも増加傾向にあるという。

保育園の平均保育料は月額約8万円。このうち半額を国が負担し、さらに事業所が上乗せ補助しているが、事業所内施設の場合は上乗せ補助の割合が高まるので、増加傾向を後押ししている。日本でも、人手不足が深刻化し、保育の利便性要求がさらに高まると、こうした事業所内施設が増えるのではないかと思われる。

保育園はどちらも定員180人。日本なら随分大きな施設になるが、玄関ロビー、遊戯ホールはなく、通路も必要最低限の広さでコンパクトにまとめてある。政府機関の保育園にはルーフテラスに日除けつきの細長い園庭があったが、他の二施設に園庭と呼べる空間はほんのわずかだった。ただこれはシンガポールに限ったことではなく、土地の広い米国や豪州でもコンパクト施設が多いので、広い園庭とゆったり園舎は日本独特といえるかも知れない。

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↑ビルのルーフテラスにかなり大きな園庭はあったが、陽射しが強くて遊んでいる子は見かけなかった。

 

比較的涼しい雨期の11月でも、ちょっと陽が射すと35度になる赤道間近な土地柄ゆえ、外遊びは無用なのかも知れない。体力づくりや運動能力向上は室内空間で十分行っているとスタッフは説明したが、具体例を見ることができず、大きな謎として残った。トイレの隅で砂場遊びをしている姿を見るにつけ、日本の子ども達は恵まれていると思ったものである。

131108_4←朝、昼、午後のオヤツと日に3回提供される給食のメニュー。朝は市販のサンドイッチ、昼は丼に盛りきりのものが多い。


もうひとつ注目したのは給食である。朝7時にやってくる子ども達は、朝食を保育園、幼稚園で食べる子が大半だという。子どもを預けてから、親はコーヒースタンドやバーガーショップで朝食を済ませて仕事を始めるというのが東南アジアの生活でもあるようだ。その代わり夕食は家族そろって食べるのが彼らのライフスタイルだ。朝食抜きで夕飯も家族そろわない家庭が少なくない日本と比べると、果たしてどっちがいいのか悩ましい。

その給食、子ども180人とスタッフの分を、1人か2人の調理スタッフで作っているのにも驚いた。ただ中身は雑炊やカレーで、丼ひとつの盛り切りタイプ。それゆえにできる芸当である。給食にしてもお母さん弁当にしても、やっぱり日本の子ども達は豊かなランチタイムを過ごしている、と思った次第でもある。

131108_5↑職員を含め約200人分の食事を用意する保育園の厨房。1日3回の食事を1人のスタッフがすべて用意する。「ひとりで何の問題もない」と言っていた。

 

※動画レポート「シンガポールの幼稚園・保育園」(YouTube)


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