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全日私幼連総会と歴代文科相三人と震災義援金

2011年5月25日(水)

 東京市ヶ谷・私学会館で行われた全日本私立幼稚園連合会(香川敬会長)の総会に出かけました。年に1回の総会なので、例年ならあちこちで久しぶりの挨拶が交わされるなど多少華やいだ雰囲気を感ずるものですが、今年はやはり通夜のようなムードでした。

★私立幼稚園の死者不明は82人

 東日本大震災で、私立幼稚園は園児・教職員の死者行方不明者が計82人(うち園児76人)、園舎施設の損壊が707園(うち全壊または流出が13園)という被害を受けたのですから仕方ありません。

 毎年、総会に出かける関心のひとつに来賓の顔ぶれがあります。今年は高木義明文科相が国会答弁のため事務次官の代理出席となりました。そのためSPや大手メディアの姿はありませんでしたが、全日私幼PTA連合会の河村建夫会長(自民党衆議院議員・元文科相)、民主党私学振興推進議員連盟の川端達夫会長代行(衆議院議員・前文科相)、自民党幼児教育議員連盟の中曽根弘文会長(参議院議員・元文相)の歴代大臣三人が並びました。

 三氏の挨拶は、当然ながら震災に関する内容が中心でしたが、それ以外について語った部分を紹介しましょう。

★民主党代表は幼保一体化に触れず

11052501_4  河村建夫氏は、全日私幼連が長期計画で推進する「こどもがまんなかプロジェクト」をPTAとして全面的にバックアップしていくことを述べたうえで、幼保一体化については「学校教育法の改正で、最初の学校が幼稚園と明確に位置づけられた。この意図が正しく理解され、そしてこれを生かす活動を展開していく」と述べました。

11052501_5  川端達夫氏の話はすべて震災がらみでしたが、その中でこんなエピソードがありました。「関西人(滋賀県選出)なので阪神淡路大震災の教訓から、あの時以来、我が家ではラジオ、スリッパなどの入った防災袋を用意してきました。ところが今回、それが見つからなかった。ようやく押入の奥からほとんど空の状態で見つかりましたが、“これは何だ?”と考えました。憂いの意識が薄れていたのです。“備えあれば憂いなし”ではなく“憂いなければ備えなし”が正しいのだと知りました」

11052501_6  自民党の参議院議員会長でもある中曽根弘文氏は「50年ぶりに改正された教育基本法は家庭教育、私学教育、幼児教育を重点にしていますが、民主党の幼保一体化構想はそれをないがしろにしている。子どもの立場を第一に考えるべきですし、教育の質が低下することがあってはなりません。政権交代で棚上げされましたが、自民党は幼児教育の無償化で議論を積み上げてきました。これを実現させるためにも政権復帰を目指していきます」と述べました。

 つまり自民党の二人が、法体系と理念から幼保一体化問題を取り上げたのに対して、民主党の代表はこの問題に一切触れませんでした。民主党政権の密室体質と思慮の浅薄さがここでもまた明らかになったと言えます。

★義援金の動きにも時代の変化が

 来賓が引き上げた後の総会では震災義援金の使い方について議論がありました。各幼稚園から都道府県団体経由で全日私幼連に集まった約4億6千万円の義援金を、すべて私立幼稚園関係で使っていいのか、という問題でした。

 幼稚園の募金箱にお金を入れてくれた園児や保護者の気持ちには、私立幼稚園だけでなく、もっと幅広く使ってほしいとの願いがあったのではないかとの指摘です。

 最終的にこの意見は、①募金の趣旨が明確であったこと、②これまでも同じ形で行われてきたこと、③他の業界団体でも対象限定化は一般的であること、などの点から支持されず執行部提案が承認されましたが、私にはこのこと以上に気になったことがありました。

 それは、16年前の阪神淡路大震災ではたちまち5億円の義援金が集まったのに、それよりずっと被害規模が大きい今回が4億6千万円にとどまったことです。

 2度の中越地震を含めると、この16年間に4度の国内大震災があり、スマトラ沖、中国四川省、ハイチ、チリ、ニュージーランドと海外での大震災が相次ぎ、そのほかにも噴火、大雨などの被害が何度もあって、そのたびに私立幼稚園は保護者、職員に義援金を呼びかけてきました。それがいつしか“義援金慣れ”的な意識を生んでいたのかも知れません。

 あるいは逆に、余りの被害の大きさに身がすくみ「義援金だけでいいのだろうか?」という思いが強まって思い悩んだのかも知れません。などと考えていました。

 ところがいくつかの県団体事務局で訊いてみると、集まった義援金の半分を全日私幼連に届けて、残り半分は直接被害のあった県団体に届けたというケースがあることがわかりました。県団体同士の交流があったり、過去に直接支援してもらったことがあったなどの事情があったからのようです。

 つまり私立幼稚園に集まった義援金は、全日私幼連が公表している金額よりはるかに多いと察することができ、ちょっとホッとしました。それと同時に感じたこともありました。それは、民主党政権になってから「政府は信頼できない」という国民の意識が高まったわけですが、同じ図式で「中央組織、全国組織は信頼できない」という意識が底流に広がっているのではないかということです。

 幼稚園情報センターにも「被災した幼稚園を自分たちでこんな形で応援したい。それを受け入れてくれる幼稚園を教えてほしい」という要請がいくつもありました。組織や機関を介さず、直にお互いの気持ちをつなげたいという意識です。これもまたインターネット時代の変化なのかも知れません。

※全日私幼連総会での香川会長、吉田敬岳前会長の挨拶は幼稚園情報センター・私幼ヘッドラインに掲載しました。


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