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むつみ愛泉幼稚園とクリスマス会と盲目のピアニスト

2008年12月22日(月)

★フィンランドからやってくる“あわてんぼうのサンタクロース”

栃木県下野市・むつみ愛泉幼稚園(小倉睦美理事長&園長)のクリスマス会にやってきた。この幼稚園は、アメリカや中国から招待がくるなど世界的な幼小一貫和太鼓チーム「愛泉童太鼓」で知られるが、私が知るかぎり、クリスマスを大変大事にしている幼稚園でもある。看板やパンフレットのマスコットキャラクターがサンタさんで、壁にサンタさんを描いた“サンタハウス”も敷地内に二棟ある。

Photo_2 そのひとつがこれ。年長の部屋とコミュニティルーム、それに園長が夜遅くまで、ときには徹夜で突貫仕事に取り組む執務室もある。

「子ども達はクリスマスが大好き。それならサンタさんがいつでも遊びに来られるお家があるといいじゃないですか」と小倉園長は目を細める。

だから同園には毎年、ほんもののサンタさんがやってくる。フィンランド政府が認定する公式サンタクロースの1人が日本を訪ねるとき、最初に寄るのがむつみ愛泉幼稚園なのである。

Photo これがほんものサンタさんと小倉園長。見てわかるようにサンタさんは赤い服を着ているわけではない。赤い帽子と赤いマントと赤い手袋と赤い靴を着用しているが、中の服とズボンは濃緑色である。

「コカコーラ社が作りだしたサンタさんは赤い服だが、フィンランドにいるほんもののサンタさんはグリーンの服だ」という風説は半ばあたっているのである。

しかしこのほんものサンタさん、不肖編集長のように同園の年間予定表を見ながら日本に来るわけではないので、来訪がクリスマス会とずれてしまうことが多い。今回も2週間も早い12月9日(火)に現れた。まさに“あわてんぼうのサンタクロース”なのである。

朝の自由時間を楽しんでいる年中さんに「今日はクリスマス会だね」と声をかけると、ちょっと間があってから、(そういえばそうだね)という感じで「うん、そうだよ」と淡泊な答えが返ってきた。

Photo 「サンタさん来るかな?」A「来ないよ」「どうして?」A「この前来ちゃったからさ」B「ほんもののサンタさんが来たんだよ。本当のほんものだよ」

「じゃ、プレゼントもないのかな?」A「いや、ある」B「この前置いていったんだよ」「中身は知ってるの?」A「カルタだよ。いつもカルタをくれるんだ」B「でも、お家にはオモチャを置いていってくれたよ。お母さんが言っていた」

というような会話を楽しんだが、さすがに本家クリスマス幼稚園だけあって、子ども達はクリスマスを冷静沈着に受け止めているようだ。

Photo_2 そのクリスマスの様子は、追って『月刊・私立幼稚園』の実況中継記事で詳しく紹介したいと思うが、印象に残った光景をいくつか予告すると、ひとつは右写真のような、いろいろな形をした手作りクリスマスツリーが園内のあちこちにあったこと。

もうひとつは、ホールにやってきた子ども達が皆、アルミホイールで包んだロウソクを1本ずつ持っていてそれに火をつけたことだ。火の危なさは十分に知っているようで、子ども達の顔は真剣そのもの。小さな灯りだけのホールは、いつもの幼稚園の賑わいがウソのように静まり返った。まさにクリスマスの神聖さにすっぽり包まれたのである。

その中で子ども達は「きよしこの夜」を美しい声で歌う。最初に日本語、次は英語、最後はハミングだ。終わると一斉にローソクを吹き消す。しばしの暗闇の後、電気がついて「メリークリスマス!」と叫び、「ウィシュユアメリークリスマス」と「ジングルベル」を元気に歌った。筋書きにこだわらない臨機応変進行ながらも演出は凝っていた。

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最後にもうひとつ。サンタさんは来なかったが、日高馨輔(けいすけ)さんという日本聖公会に所属する本物の牧師さんが来て、世界平和へのお祈りをしてくれたことだ。

Photo_3 盲目の日高さんはプロのピアニストでもあり、ときどき同園に遊びにきて子ども達に軽快なジャズを聴かせてくれるが、この日はクリスマスソングが中心。それでも「崖の上のポニョ」なども弾いて子ども達の歌声を誘った。

全体のクリスマス会が終わり、年少、年中さんが引き揚げると、日高さんは年長さんを前に、イエス様が生まれたときの話を語り出した。

1冊のノートが開かれ、日高牧師はそれを触りながら話を正確に進めていく。しかしノートは、開いても開いても真っ白である。点字で書かれているからだ。それが子ども達には不思議で仕方がない。お話の後の質問タイムは、生誕ドラマの中身でなく、点字ノートのことに集中した。

その後私は、あわてんぼうの編集長よろしく、放送機器の棚に思い切り額をぶちつけ気を失った。視界いっぱいに星がまたたいた素晴らしいクリスマス会だった。

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