こうま幼稚園と私未会と認定こども園
2008年9月20日(土)
★何事も看板を大事にすべし
台風(13号)一過の青空の下、板橋区・こうま幼稚園(高麗正夫理事長&園長)に出かけました。「私立幼稚園の未来を築く会」(略称=私未会)の月例研究会が行われたからです。
私未会(しみかい)とは、若手経営者の鍛錬道場のような研究会で、ほぼ月に1度、テーマを決めた研究討議を行い、そのあと居酒屋やレストランで存分に懇親交流を深めることを柱にしています。
中心は東京の幼稚園ですが、埼玉、千葉、山形、青森にも会員を有する幅広さがあります。
発祥は1977(昭52)年の秋にさかのぼります。旧全法幼(全国学校法人幼稚園連合会)事務局の片隅、西日の射す窓際で、「私立幼稚園とPR活動」をテーマに話し合いを持ったのが最初だと記憶しています。
当時は「幼稚園が宣伝だPRだなど、とんでもない!」という論調が主流でしたから、あえてそのタブーに挑戦した若気の試みとも言えました。「私立幼稚園の未来を築く会」という名称も、今なら何とも思われないでしょうが、当時は冗談っぽくとられて、ゴム印屋のオヤジから「本当にこれでいいんですか?」と念押しされたものでした。
それゆえ順風満帆な船出とはならず、風前の灯状態も何度かありましたが、北條泰雅氏(港区・みなと幼稚園理事長=現東京都会長)、柏原寛昭氏(世田谷区・育成幼稚園理事長)、入谷幸二氏(大田区・徳持幼稚園理事長)、角本史夫氏(豊島区・白ばと幼稚園理事長)、佐々木司氏(山形市・あおぞら幼稚園理事長=現山形県会長)、高麗(こうま)正夫氏、加藤篤彦氏(武蔵野市・武蔵野東幼稚園園長)らのキャラクターのおかげで現在まで続いています。
こうま幼稚園の玄関前には看板が立っていました。入園式、卒園式、運動会など行事のときに使う看板土台を利用したもので、どこの幼稚園にもあるものですが、私未会の長い歴史の中でも、これほど立派な看板が出たのは初めてのような気がします。看板、表示、ネーミングを大事にする高麗先生らしい発想です。揮毫も高麗先生で、これまた集まった25人の会員を感心させました。
写真は右が高麗先生で左が息子の正道先生。おうまの親子ならぬ“こうまの親子”です。息子は筆まめで純真な好青年です。毛筆力とカラオケ歌唱力は、まだ父親に及ばないようですが、きっと力をつけてくることでしょう。どこまでオヤジに似てくるか楽しみです。
リニューアルされた園舎の階段踊り場に「こうまカレンダー」が貼ってありました。
ほかの幼稚園でも時々見かける光景です。こいのぼり、いもほり、のうりょうまつり、プール……など季節感を感じさせてくれますが、9月が「お茶とうばん」、11月が「おべんとう」になっているのに首をひねりました。
テーマ研究が始まる前に、こうま幼稚園の1年を紹介した約20分のDVDを観ましたが、ここでもその謎は解明されず、「きっと11月にはお弁当がらみの一大イベントがあるんだろう。取材に来なくては」と思ったものでした。
★東京の“幼稚園型”認定こども園をモデルにしよう
さて肝心のこの日の研究テーマは「認定こども園」。今年4月から幼稚園型認定こども園になった日野市・多摩平幼稚園の福田大海(おおみ)副園長(写真左)がその経緯、現状、課題などを報告しました。
隣にいるのはご存知“考えるペコちゃん”です。こうま幼稚園の中にはこうした特製大型ペコポコ人形があちこちにあります。それは同園が不二家を格別に愛する幼稚園だからです。
2007年1月、消費期限切れの牛乳を使ったことで不二家事件が起きました。このときも同園は応援を続け、会社に激励メッセージを送り、感激した不二家社長から感謝状も届きました。
思えばこの事件がきっかけで白い恋人、赤福、ミートホープ、マルハ鰻……などの食品偽装が次々に明るみに出ました。最近の汚染米、メラミン牛乳に比べると悪質度は随分低いものですが、食品問題の実態解明への気運をつくった貢献度は大きかったと言えます。
認定こども園についても、政府が期待するような広がりを生むにはきっかけが必要です。それには東京都が認定している「幼稚園型」システムがモデルになるような気がします。
このシステムなら、長期休暇中も預かり保育を行っている幼稚園は、ほぼ現状のまま認定こども園に移行でき、該当の子どもについては従来の10倍以上の補助金が交付されます。懸案の幼保間の財政格差がかなり埋め合わせでき、同制度創設の本来意義も見えてきます。
たしかに“こどもの利益”を考えた場合、保育所機能部分の開所時間、開所日数はまだまだ問題があります。しかしそれは、飛び込んでからの綱引きで改善できる可能性が十分にあると思います。
土俵に上がらずに手をこまぬき、保育所型あるいは幼保連携型の認定こども園が増えてくるのを見過ごしていく方が、幼児教育の理想を推進すべき幼稚園として罪が深いと言えるかも知れません。
この問題は本誌記事の中で、掘り下げていきたいと思います。
最後に1枚、ご参考までにこうま幼稚園の全景写真を載せておきます。この日は外に出て撮影する余裕がなく、これは2004年2月に撮影したものです。その後園舎内はリニューアルされましたが外観は大体同じです。
左手に色の違う建物が見えます。同園とはまったく無関係の社会福祉法人の保育園です。この、隣に無関係な保育園があることが、こうま幼稚園の底力と不思議な品格を醸成している気がしてなりません。
もうひとつ、先生方の机の上に置かれている最高級高麗人参ドリンクも一役買っているかも知れません。「高麗」と「高麗人参」のひっかけ。ここにも理事長のユーモアセンスを感じました。
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