六本木ヒルズと佐々木司とトンカツ定食
開業から5年になる六本木ヒルズに初めて足を踏み入れました。2008年4月17日(木)、ボーネルンド社(本社・東京原宿/中西弘子社長)の六本木ヒルズ店が開業した日です。
わが町にも幕張メッセというモダン空間があるので、六本木ヒルズだ東京ミッドタウンだと言っても、そう驚くことはないだろうと思っていましたが、やっぱり違いました。
歩いている人、ベンチで語らっている人、ふと空を見上げた人たちが、みんな垢抜けているのです。
地下鉄の駅を下りてまずたまげたのは、ママンという巨大な蜘蛛のオブジェです。不気味です。
インターネットのウェブとは「蜘蛛の巣」を意味する言葉で、蜘蛛が立っているのは張り巡らした情報網を伝って、六本木に世界中から人が集まってくるという意味とのことです。
しかし夜見る蜘蛛はエンギ悪いと言いますから、夜は六本木に行かない方がいいと思います。
ママンというのはフランス語で母親を意味するようで、蜘蛛の下から森タワーを見上げると、 お腹に卵を抱えているのがわかります。大理石でできた20個の卵です。
ママンが母親なら、父親はパパンと言うのでしょうね。たぶん。
ともあれ、かつて(といっても5年前ですが)成金若者の街と言われた六本木ヒルズが、スパイダーママンの登場で家族の街に変身しました。そこで出店を要請されたのが、世界中からオモチャを集める会社、明るい家族の象徴、ボーネルンドというわけです。
中西弘子社長は、脱サラした夫の将之氏(同社会長)と一緒に、デンマーク・コンパン社製などの幼稚園向き屋外遊具を輸入する仕事から始め、日本各地にショップと遊びの広場(あそびのせかい)をつくってきました。六本木ヒルズは89店目です。
そんな六本木ヒルズに、ひとり垢抜けない人が現れました。山形県山形市・あおぞら幼稚園の佐々木司理事長(山形県私立幼稚園協会会長)です。
幼稚園にいるときは、その大半の時間を畑で過ごし、農業専門誌に登場することもしばしばで、農家の人達が作付けの時期を訊きにくるほどの人です。
幼稚園の給食メニューはもちろん、芋掘り、大根掘り、サラダパーティなど行事の成否はすべて理事長の農作業にかかっているのです。
若い高校教師をしていましたが、肥だめならぬ恋に落ちた相手(佐々木由紀子園長)が幼稚園経営者の娘だったため、幼稚園を引き継ぐことになりました。
しかし、その神がかり的な素朴さゆえにか、あおぞら幼稚園はいい幼稚園です。
「理事長としての最後の仕事だ」と言って、同園は今、全面建て替え工事の真っ最中です。園だより「ハッピーチルドレン」で工事の様子が伝わってきますが、この理事長からどんな幼稚園が生まれてくるのかすごく楽しみです。
写真は左が佐々木司先生、右が中西弘子社長。ボーネルンド六本木店で。
その佐々木先生から、「おい、飯でも食おうや、ビール飲みながら」と誘われました。ありがたいことです。
「先生、それならトンカツ屋なんかどうでしょう。あそこならご飯もキャベツも味噌汁もタダでお代わりできますから」
「んだか。ビールもお代わりできるか」「はい……でもタダじゃないですが」
そんなわけで二人は、駅前の「トンカツうちの」に入り、豪華にヒレカツ定食なんぞを注文しました。編集長は今年初のトンカツにありついたのでした。
「しかし、つまみがキャベツばっかじゃ寂しいな。トンカツもお代わりするべや」
「先生、トンカツはできないんです。キャベツと味噌汁で我慢してください」
「そんなことないべや。金払えばいいんでないの。お姉さん、トンカツもお代わりね」
ということで我々の前には、もう1人前の豪華ヒレカツ定食が運ばれてきたのでした。
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